微温的ストレイシープ
そして話はこれからのことになった。
わたしの目的は、自分が誰なのかを知ること。
廉士さんの希望は、一刻もはやく厄介事を片付けること。
厄介事とは何を隠そうわたし、榛名灯里のことで。
つまりわたしの正体を知ることがふたりの共通目的となった。
「あんたを追ってる奴らに覚えはないんだな?」
「はい。わたしのお友達……ではないですよね、たぶん」
あんな怖いお友達……いや、人を見た目で判断するのはよくないけど。
それでもおそらく面識はないだろう。
なんで追いかけられてるのかはわからない。
廉士さんと会ったときだって、気づいたら急に追いかけられていた。
追いかけられたら、逃げるしかない。
廉士さんもほかの暴走族の人に狙われている身。
となれば、
「もしかしてわたしたちって、かなりヤバいペアなのでは」
「解散するか?」
ふるふると首を振って拒否をする。
助けてもらってる手前強くは言えないけど、それだけは示しておかなくちゃいけない。
もう頼れるのは廉士さんしかいないんだ。