微温的ストレイシープ
廉士さんが連絡を取ろうとしていたのは、ユキノさんという人らしい。
ユキノさんはあまり知られてない情報屋で、年齢不詳の女性なんだとか。
それでも情報収集能力に長けていて、彼女の右に出る者はいない。
廉士さんもたまに情報を提供してもらっているらしく、ユキノさんの居場所を知る数少ない人物のうちのひとり。
「つまりいま向かってるのは、そのユキノさんのおうちなんですね」
「いや……あの女に決まった家はない。生業が生業だけに、一カ所にとどまるのはリスクがあるんだと」
「情報屋か……なんだか、かっこいい。クールで物静かなイメージです」
「あー……まあ、な」
なんだか煮え切らない返事だった。
というかさっきから一度も止まらず進んでるけど、本当に道はあってるんだろうか。
右、左、左、右、……って。
混乱するほど角を曲がって、かなり奥まったところまで来ている。
「ここだ」