微温的ストレイシープ
「えっ」
廉士さんが立ち止まったのはいきなりだった。
細い通路を進んでいたときだったから、油断していて背中にぶつかりそうになった。
「こ、こんな道の途中に?」
かぎりなく狭い、建物同士のあいだ。
右手側に、どこにでもあるような灰色のドアがあった。
廉士さんがドアノブに手を伸ばす。
どんな人なんだろう、と
期待半分、不安半分のわたし。
がちゃり、それが開けられた瞬間。
飛んできたのは、おもわず廉士さんも停止してしまうほどの……
「ッはあああああぁぁぁ~~~~!?いやそっちが悪いのに逆ギレとか意味わかんないんですけど!?ったまおかしいんじゃないの!!?」
──────怒号だった。