微温的ストレイシープ
「ご無沙汰だったじゃない。元気にしてた?廉士」
「まあ、それなりに」
「あいかわらず無愛想~」
そこでユキノさんと目が合った。
どきっとしたのも一瞬、にこりと微笑まれる。
「可愛い子ね。いらっしゃい」
「は、はじめまして」
「突っ立ってないで、とりあえず入りなさいよ二人とも」
なにか情報が欲しくてここに来たんでしょう?
と、落ち着いた口調。
……でも、
「あの、涙が……」
「ああ大丈夫大丈夫。涙は我慢せず流したほうがいいの」
「こいつのことを調べてほしーんだけど」
廉士さんにいたっては触れることさえしなかった。
その淡々としている口調にユキノさんも慣れているようで。
「はいはい。ちょっと待ってね」
近くにあったパソコンをつかみ取ったユキノさんは、椅子に腰を下ろした。