微温的ストレイシープ
「まあちょっとした気の迷いで致しちゃったこともあったけど」
「おい、こいつの前で言うなよ」
「あら。今回は本気なの?」
「……こいつは、榛名はそういうんじゃない」
ふたりの会話の意味はぜんぜんわからなかった。
横から口をはさむのは気が引けて、会話がとぎれたときにおそるおそる聞く。
「あの、致しちゃったことって?」
「掘り返すな馬鹿」
廉士さんは止めたけど、ユキノさんはそっと耳打ちをしてくれた。
「エッチしたってこと」
「えっ、……え!?」
すこししてその意味を理解する。
いや、理解するまでもなくどストレートな言葉だったんだけど。
ばっと隣の廉士さんを見る。
絶対に目が合わなかった。
のぞき込もうとして、顔をそらされての繰り返し。
それを見ていたユキノさんがくすりと笑った。
「廉士、この子ほんと可愛いね。あたしバイだからどう?」
「バイじゃねーだろ。からかって遊ぶなよ」
バイの意味はさすがにわかる。
ユキノさんに迫られる姿を想像してしまって、顔にすこしの熱が集まり。
それを冷ますように紅茶をいただいた。