微温的ストレイシープ
「で、話を戻すけど。それでもプライベートとは線を引いてんのよ。……そう、プライベート……
はは、さっき彼氏と別れたばっかだけど……」
胸を押さえて自嘲気味に笑うユキノさん。
その姿はすごく痛々しかったけど、なんて声をかけたらいいのかわからなかった。
次があります、とか……軽々しく言ってもいいのかな。
「だから匿うのは無理。ごめんね灯里ちゃん」
「い、いえ!ぜんぜん……!」
ぶんぶん手と頭をふると、優しい目つきで見てくれた。
でもその目はまだすこし腫れている。
……よっぽど、つらかったんだろうな。
そしてユキノさんは廉士さんへと視線をうつした。
「第一、この場所もおおやけにはしてないんだから。さっきフツーに入ってきてたけど、もしあんたじゃなかったら即始末してたからね?」
「は、やっぱり気づいてたのかよ」
「当たり前でしょ。あたしを誰だと思ってんの」
「下手したらそこらの男より強いもんな、お前」
そうなんだ。
スレンダーな身体からは想像できなかった。