スミレ色の手紙〜未来につながる愛〜
手紙にはそう短く書かれているだけだった。ローズは現実を受け止めきれず、ただ泣き続ける。

『ローズ、愛してる』

懐かしい記憶が蘇る。ステファンがいなくなるまで毎日のように言われていた「愛してる」という言葉は、遠くへ消えていく。

「帰ってきて……!ステファン!!わぁぁぁぁぁぁ!!」

ローズは泣き続け、数日後に行われたステファンの葬儀にはまるで死んでいるかのように無表情のまま参列した。ステファンの棺には遺体はない。戦地から運ばれてきていないのだ。それでも、ステファンの葬儀は執り行われた。

「ステファン……」

ステファン・スターチスと書かれたお墓に触れ、ローズはまた涙を流す。生きる意味を失ってしまったような気がした。世界を見る楽しさを教えてくれた人を、心から愛する人を失い、ローズは今すぐにでもあなたのもとへ行きたいと願う。

しかし、ローズが暗いことを考えるたびにお腹に優しく振動が伝わってくる。ローズの中で赤ちゃんが必死に生きたいと願っているのだ。ローズは「ごめんね……」と呟き、お腹を撫でる。
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