スミレ色の手紙〜未来につながる愛〜
「今日の放課後はあの場所へ行こう」

苦しい思いを一瞬で晴らすことができる場所をローズは見つけていた。そこに行こうと決め、ローズは学校へ向かう。

戦争中とは思えないほど、この国の人たちには笑顔があった。



授業が終わった後、ローズはかばんを持ち素早く教室から出る。教室ではお嬢様が集まってエステやドレスの話をしていたが、今のローズにはどうでもいいことだった。

廊下を小走りで移動し、ローズは学校の裏にある森の中へ入っていく。木々の間から木漏れ日が差し込み、ローズは束の間の自由に頬を緩ませた。

この森には、「淑女として自覚を持ちなさい!」と怒鳴る先生も、娘がいい家に嫁いでいくことを願う両親も、ドレスや宝石、贅の限りをつくしたお嬢様もいない。ローズはここではただの女の子なのだ。

「はあ……。落ち着くわ……」

ローズは森の空気を胸いっぱいに吸い込む。どこからか、小鳥の可愛らしい泣き声がして微笑んだ。そして、目的の場所に向かって歩き出す。
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