スミレ色の手紙〜未来につながる愛〜
ローズはステファンに心を惹かれ、ステファンに会うためによく森へ行くようになった。スミレが花を散らせてしまっても、二人は森で会い続けた。
「ステファン、今日はどんな本を読んでいるの?」
「今日は西にある大国の本だよ。ひいおじいちゃんに感謝だな。色んな国の本をコレクションしていてくれたんだから!」
ステファンは嬉しそうに本を読む。ローズはステファンがめくるページを見つめるが、何を書いてあるのかさっぱりわからない。ローズにとってそこに書かれている言葉はまるで暗号だ。
「ステファン、何て書いてあるのかわからないわ」
「じゃあ読んであげるよ」
ローズが「わからない」と言うと、ステファンはいつも本を読み聞かせてくれる。その時間がいつしかローズにとって大切なものになっていた。
ステファンから外国の本を読み聞かせられた時、ローズは初めは法律を破ってしまったという気持ちが渦巻いていた。しかし、外国語の楽しさや言葉の美しさを知り、今ではこの秘密の時間を楽しんでいる。