スミレ色の手紙〜未来につながる愛〜
読書を終えた後、ローズとステファンはお互い最近あったことなどを話す。木の陰に座り話している間、森に楽しげな声が響いていた。

「それでね、ヴァイオリンの先生がとても厳しくて……」

「そっか。こっちも怖い人ばっかだよ〜」

お嬢様学校や士官学校に通う二人の生きる世界はあまりにも厳しすぎる。ローズは寂しげな目をステファンに向けた。

「やっぱり私たちは、一生何かに囚われて生きていかなきゃいけないのかしら?」

「それは違うと思う」

ステファンの声は思ったよりも厳しく、軍人のようだった。ローズは目を、耳を背けたくなるが、目を背けてはいけない言葉もある。ローズは「どうして?」と訊ねた。

「囚われてるって思っていたらずっと囚われたままだ。自由ってさ与えられるものじゃなくて、自分で作るものなんじゃないか?」

そう言ったステファンの目は、とても強い想いに満ちていた。ローズはそんな顔に見惚れ、頬が赤く染まる。その時、ステファンと目が合った。
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