笑顔のキミを
「あの・・」
もしかしたら無視されるかも。
そんなことを思いながらも、気づいたら話しかけていた。
「・・・」
言葉は発しなかったけれど、彼の視線はたしかにわたしをとらえていた。
「咲良はきっと嬉しかったと思います。あなたのような人がそばにいて」
「・・・ありがとうございます」
彼の中でわたしは全然知らない人。
それでもいい。
ただ、わたしの言葉で少しでも彼の心が温かくなってほしい。
わたしはそのあとお母さんに呼ばれたのでそこをあとにした。
お葬式にも告別式にも、彼の姿はなかった。