笑顔のキミを


凛斗には、表彰式のときに少しだけ話したと嘘をついた。


本当は咲良が死んでしまった後、あの冷たい部屋の外で話しただけ。


しかもほぼ一方的にわたしが。

だから覚えてなくて当然。


もうきっと会うこともないと思っていた。

咲良にいって会ってみたいと思っていたけれど、その咲良はもうこの世にはいないから。

わたしと彼を繋ぐものはなにもない。


ただ、わたしはそれでも彼に会ってみたかった。

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