笑顔のキミを
「ありがと。凛斗は?どうして?」
「俺も同じようなもんだよ。親とか親戚とかさ、別に誰もカメラマンだったわけじゃないし、カメラに詳しかったわけじゃないし。ただ俺の幼なじみが・・・・、うん、そう。なんとなく、カメラに触れたら好きになってた」
「そっか。凛斗もすごいよ。すごい」
ねえ、凛斗。
空を見上げて何を想ってるの?
そんなの決まってるか。
ひとりしかいないよね。
凛斗をそんな顔にさせるのは、咲良しか。
「わあ、綺麗」
凛斗、みて。
こっちをみて。
夕日がすごく綺麗だよ。
「撮ってみたら?」
「夕日。ナナなら、いい写真が撮れると思う」
「きっと撮れる」
その力強い言葉にわたしはカメラを向けた。