笑顔のキミを


「ほら、帰るわよ」

「えー、もうちょっと遊びたい!」

「だめ、おいで」

「・・・はーい」


子供の寂しそうな声とともに、公園から親子がでてきた。

こんな遅い時間まで遊んでたのか。


いや、でも昔は俺もよく遊んでたな。

遅くまでずっとあの子と2人で。



「今日はカレーよ」

「え、ほんと?やったー!」


さっきまで暗い表情だった子供の顔がぱーっと花が咲いたように明るくなった。

昔の俺なら、シャッターを切っていた。

子供の笑顔ほど可愛くて綺麗なものはないと思う。

その気持ちはいまだって変わってない。

でも、それでも俺はもう人を撮ることができない。
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