笑顔のキミを
「当たり前だよ。凛斗はわたしのこと覚えてなくても仕方ない」
「そろそろ教えてよ、どこで出会ったのか」
「表彰式だよ」
「・・・表彰式?」
「そう、凛斗が表彰されたとき」
ああ、凛斗はいまなにを思いだしているだろう。
きっと表彰されたときよりも、そのあとの出来事のほうが凛斗の人生を変えたはずだから。
「わたしあの頃からモデルやっててさ、写真を撮られることたくさんあって。でも4月のときも話したけど、わたし友達が勝手に送ったから、なりたかったわけじゃなくて、ずっと嫌だったの」
そこで一呼吸。
凛斗はわたしの話にただ頷いてくれた。
「でも、凛斗の写真で救われたんだよね。というか、うらやましかったんだと思う。こんな風に撮ってくれる人がいて。だから、わたしももうちょっとだけモデルの仕事頑張ってみようかなって思った」
「誰かを幸せにしてあげられるような、そんなモデルになりたいと思った。全部、凛斗のおかげだよ」