笑顔のキミを
「みて!めっちゃ綺麗にとれた!」
ナナの言葉に、千夏ちゃんと画面をのぞきこむ。
「俺じゃないのかよ」
かっこよく撮るっていうから、てっきり俺のことを撮ったのかと思ってたけど。
そこにうつっていたのは、水風船がペットボトルに当たってはじけて水滴が飛び散っている、そんな瞬間だった。
でもたしかに綺麗だ。
カラフルな水風船が割れている瞬間も、1粒1粒の水滴が飛び散っているのも。
「まあまあ、怒らないでよ。ジュース奢るからさ」
「なにがいいですか?」
「いいよ、別に」
そういうルールだったけど、女の子から奢ってもらうっていうのはなんだか悪い。