笑顔のキミを


「わたしたち、ナナさんのこと全然知らないですね」


千夏ちゃんが少し悲しそうに呟く。

ナナはあんまり自分のことを話してくれないから。

そう思って俺だってなにも聞いてないのが悪いんだろうけど。



「ナナさんは、わたしたちに少しでも心を開いてくれてるんでしょうか」


千夏ちゃんがそう聞く理由はわかってる。



───あれは夏休みに入るちょっと前のことだ。あの水風船で遊んだときよりも前のこと。

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