笑顔のキミを

精神安定剤





「ただいま」

「おかえり。ずいぶん遅かったわね?また写真?」

「そう」

「写真もいいけど、勉強もちゃんとやってるの?」

「やってるよ」

「ならいいけど。早く手洗ってきちゃいなさい」


俺の両親は、俺が写真をやることに反対だ。

プロのカメラマンなんて成功しない。

なれるひとなんて一握り。

だから写真はあくまでも趣味。


昔は、俺が表彰されたら喜んでいたのに。

昔は、俺がプロのカメラマンになることに賛成だったのに。


いつからか反対するようになった。

いや、いつからかなんてわかってる。

あのときから、あのとき俺が人の写真を撮れなくなったときから。


反対するのは、俺のため。

そんなこともわかってるつもり。

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