笑顔のキミを


「じゃあこれでラストです」


千夏ちゃんはそういって俺とナナに一本ずつ線香花火をくれた。

3人で一斉に火に近づける。

その瞬間に広がる3つの火花。


「あ、そういえばなにも考えずにつけちゃいましたね」

「だね。でもいいんじゃない」

「うん」


誰が負けとか賭けをするとか、そんなものなしに。

俺たち3人はその火が落ちるまで静かにその光景を眺めていた。


< 193 / 390 >

この作品をシェア

pagetop