笑顔のキミを
「あ、先輩すいません。旦那と子供待たせてたんでした。もう行きますね」
「きてくれて本当にありがとな。気を付けて」
「はい。また」
後ろを振り返った千夏ちゃんだったけど、顔だけこっちをみた。
「言い忘れてた!凛斗先輩!おめでとうございます」
そして今度こそ人込みの中に消えていった。
やっぱり千夏ちゃんは面白くて飽きない子。
そして千夏ちゃんが走り去っていく姿をみると、あのときのことを思い出す。
高校2年生の濃かった1年を。
いつまでも色褪せることない、俺の中での大事な日々を。