笑顔のキミを
「俺も高校生のときは一人でいることが多くてな。まあ俺の場合はそれがかっこいいと思っていた。友達なんていらないと思っていたし、なんでも自分ひとりでできるって思い込んでいた」
「なんか意外です」
藤森先生はこの前わかったことだけど結構冗談をいうタイプで、おちゃらけてるタイプの人だから。
それによく笑うし。
「はじめて写真部に入部してきた神谷をみたとき思ったんだ。なにもかも諦めてるタイプだなって。俺みたいに一人でいることがかっこいいと思っている勘違い野郎とは違う。本気でこいつは誰ともかかわるつもりがないんだと思った」
「まあ、当たってますね」
「だろ?だから心配だったんだ。ずっと気にかけてたし、写真部だって残したかった。俺も神谷の写真はみたことがあったからな。生徒一人しかいない部活をつぶすことなんて簡単だけど、でも俺はそれをしたくなかったんだよ。生徒一人守れないなんて、教師として失格だと思ってたから」
「そんな風に思っててくれたんですね」
きっと藤森先生がいなかったら去年でこの部活は廃部だっただろうな。
まあ俺より前にもそんなに入部者はいなかったみたいだし、とっくになかったかも。