笑顔のキミを


「いや俺はかまわないけど。それで?」

「本当は先生に高崎か佐々木かって聞かれたときにはわかってたんです。もう頭には一人しかいないってことに」

「そっか」

「ただ千夏ちゃんのこと傷つけちゃいました」

「恋愛っていうのは難しいよな。でも仕方ないさ。誰かしら傷つく人間がいるんだ。それをいちいち気にしてたら誰とも付き合えないし、告白してくれた人にも失礼だと思うよ」

「俺今まで恋愛経験なかったので、そういうの疎すぎますね」


「今まで好きになった人はいなかったのか?」

「いました。でも亡くなったんです。2年前に」

「・・・そうだったのか。すでに神谷はつらい経験をしてきてるんだな」

「はい。実際にその人を超える人とはもう出会えないと思ってました」


咲良以上に好きになれる人なんて現れない。

あのときの気持ちはもう一生味わることなんてないと思ってた。

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