笑顔のキミを
でも、手が震える。
シャッターのボタンが押せない。
気付いた時には、ボールがゴールへと入り、仲間たちと嬉しそうにハイタッチしている。
やっぱり撮れない。
俺には人が撮れない。
——コンコン
ノックの音に、我に返った。
ノックをしてくるなんて誰だろう?
藤森先生は普通に入ってくるし、千夏ちゃんは帰ったし。
もしかして幽霊部員の誰かか?
「あいてます。どうぞ」
わかんないけどわざわざノックしてくるくらいだし、怪しい人ではないと思うから。
俺はそう答えた。