笑顔のキミを


そしていまも千夏ちゃんはずっと泣いている。


「・・・千夏ちゃん」


俺はなぜか涙がでてこなかった。

多分まだ現実を受け止められてないんだと思う。



「・・っ、ナナさん・・死んだりしない・・っ、ですよね?」


その質問にすぐ答えられなかったのは、少なくとも俺自身もその可能性があると思ってしまったから。

死なないと言いたいし、頭ではそう思っているのに、もしかしたらという嫌な気持ちばかりが俺の心を支配している。



「大丈夫だよ」

でも自分に言い聞かせるように、千夏ちゃんを落ち着かせるように俺はそういった。
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