笑顔のキミを


「心配かけたくなかったから」

「倒れたほうが心配するよ。それに心配かけてくれよ。俺たち付き合ってるんだよ?」

「うん。ごめん」

「ナナがもし咲良みたいにいなくなったらって思ったら俺・・・」


情けない。ずっと泣けなかったのにここで泣くなんて。

ナナの前で泣くなんて。



「いったでしょ?凛斗の前で絶対笑うって。いなくならないって約束するって」


そういえば、そんな約束をした。

指切りを交わしたあのときから、ナナはいつも俺のそばにいて笑ってくれた。

苦しい表情とかつらい表情とかなにも見せずに、ただ笑ってくれた。



ナナが笑ってたのは、俺のため?

ならやっぱり俺は誰かを傷つけてしまっている。
< 265 / 390 >

この作品をシェア

pagetop