笑顔のキミを
「わたし凛斗に会いたくてここにきた」
「俺に?」
「咲良から話をよく聞いてるうちにもともと凛斗には一度会ってみたいって思ってた。で、もう何回も話してるけどあの表彰式で凛斗をみかけたとき一目惚れして、咲良にお願いして凛斗にもう一度会おうと思ってた。でも咲良が死んじゃって。ああ、わたしもうあの人に会えないんだって思った。そう思ったらとてつもなく悲しくなった」
ナナは息が苦しくなったのか水を一気に飲み干した。
俺は口はさむことなく、ナナの次の言葉を待つ。
「でも咲良の隣に住んでるってことを知ってたから、いちかばちかで同じ市に引っ越せば凛斗に会えるかもしれないと思った。だからあの日、凛斗をたまたま見かけたとき奇跡が起きたと思った。まさかあんな早くに会えるなんて、夢みたいだって。わたしね、それくらい凛斗のことが好きだったんだよ。最初からずっと。でもストーカーだと思われるかなとかきもいって思われるかなとかそんな風に考えたらいえなかった。凛斗には幻滅してほしくなかったから」
全然そんな風に思わない。むしろ嬉しい。
こんなにもずっと想ってくれてたなんて。
俺に会いたくてわざわざ探しにきてくれるなんて、そんな人きっといない。