笑顔のキミを
「俺はナナに会えてよかった。探しにきてくれてありがとう」
出会えたのは偶然で、咲良のいとこというのも偶然で、本当にたまたまが重なっただけかと思ってた。
でも違った。
きっとはじめから、咲良と俺が仲よくなったあのときから、俺とナナも繋がっていてこうして出会う運命だったんだと思う。
「あとね、もうひとつあるの」
「ん?」
「これも隠してたからいえなかったんだけど、ここに引っ越してきたのは空気がいいから。元々住んでたところは結構都会でね、結構空気重たいっていうか。喘息って環境問題にも左右されやすいから。咲良に会いにきてた頃、こっちにくると自然と体調もよくて元気になれた気がして、だから好きだったの」
「なるほど。たしかにここは超田舎だし、空気はいいかもしれない。自然もいっぱいだし」
「うん」
「でもだからって頑張りすぎちゃだめだよ。空気がいいからって休まないとだめだし、倒れてからじゃ遅いんだから」
「はーい。色々ほんとにごめん」