笑顔のキミを
「ナナさーん!一緒にまわりましょ?」
だいぶ人がいなくなってきて落ち着いた頃、凛斗と千夏ちゃんがわたしのもとへとやってきた。
「もう回ってきたんじゃないの?」
「ナナさん置いていくわけないじゃないですか!」
いつもと変わらない明るい千夏ちゃんなのに、無理しているようにみえる。
それは凛斗の表情をみてもわかった。
なにかあったんだな。
「ありがと。いこっか。お腹もすいてきちゃったし」
もやもやした気持ちを抑えながらそう答える。
もうお昼も過ぎ藤森先生もだいぶ待たせてしまっているのでせっかくここまできたのに軽く回って車に戻った。
もう一度ちゃんとこよう。
今度はもう少し工夫してばれないように、誰にも邪魔されないように、そしてできれば凛斗と2人きりで。