笑顔のキミを
お母さんは昔からわたしに謝ってばっかりだった。
全速力で走れなくて泣いたとき、息が苦しくなって泣いたとき、みんなと同じように運動ができなかったとき、なんでわたしはこんな体なのと泣いたとき、お母さんはいつも自分を責めていた。
こんな体に産んでごめんねと。
そしていまも自分を責めてる。
倒れたのはわたしの自己管理問題なのに、自分のせいだと思っている。
「わたしね、今すごく楽しくて。それを言い訳にしてた。自分は大丈夫だって言い聞かせて、無理してた」
「ナナ・・・」
「お母さんのせいじゃない。お母さんは何一つ悪くない」
「っ、でも、あなたをこんな風に産んで・・・」
「わたしなにも後悔してないよ。喘息でつらいことたくさんあったけど、でもその分楽しいこともたくさんあったから。ねえお母さん。わたしを産んでくれてありがとね」
お母さんは顔に手をやり涙を流した。
お母さんの泣き顔をみるのははじめてだった。