笑顔のキミを
「やっぱり綺麗ですね」
「うん。ここ春は桜が咲くんだよ。一面ピンク」
「素敵ですね」
春はピンク、夏は緑、秋は赤、冬の終わりには小さな桜のつぼみを咲かす。
一年中飽きがこない。
「来年の春、わたしなにしてるだろう」
「そっか。ナナさんもう卒業しちゃうんですね。寂しいです」
「うん。わたしも。このままずっと学生でいられたら楽なのに」
「学生でって。ほとんど授業でてなかったくせに」
「もー。それは禁句でしょ?」
からかったけどナナのいってることはわかる。
学生って楽だ。
社会にでたらきっとこんな風にずっと笑っていられたり冗談をいいあったり、ふざけあったりできないことも多いかもしれない。
ナナはそれこそ中学生のころからモデルという仕事をしてるから、そういうものを嫌というほど感じてきたんだろう。