笑顔のキミを
「きてよかった」
「うん」
まだ入ってすぐのところなのに、まるで帰り際のような会話をする俺たち。
気持ちが通じあったように、自然と握り締めている手の力が強くなった。
「うわあー!!すごいね!パパ、写真撮って!」
「おお、いくぞ?ハイチーズ」
小さい子供が水槽に体をぺったりとつけてピースしている。
「いいな。俺もあんな風になりたい」
「あんな風って?」
「いつか結婚して子供ができたときに、子供の写真をたくさん撮ってあげたいなって」
「凛斗はお願いされなくてもずっと撮り続けてそうだけどね」
「うん。たしかに」
結婚。いまは想像できない。
でもできることならナナとしたい。
そんなことをうっすらと考えた。