笑顔のキミを


「いえ。付き合ってないです。少し考えさせてほしいっていいました」

「・・・そっか」


こういうときの俺ってなにもできないな。

恋愛相談なんてされたことないし、自分に恋愛経験がないせいでなんて答えたらいいのかわからない。



「こんなこというのはおかしいってわかってるんですけど。でもわたし先輩のことまだ諦められてないんだと思います」


こういうときだってなんて返すのが正解なのかわからない。


「すいません。困らせてるってわかってます」

「・・・俺のほうこそごめん。なんていったらいいのか、わからなくて」


「大丈夫です。今日で最後にします。だから先輩、ひとりにしてほしいです」


千夏ちゃんはそういってさっき貸した手袋を返してきた。

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