笑顔のキミを


「ありがと。凛斗は?どうして?」

「俺も同じようなもんだよ。親とか親戚とかさ、別に誰もカメラマンだったわけじゃないし、カメラに詳しかったわけじゃないし。ただ俺の幼なじみが・・・、うん、そう。なんとなく、カメラに触れたら好きになってた」


自分で話してて驚いて、心臓がバクバクいっている。

今まで誰にも話してこなかったことを、昨日会ったばっかりのナナに言いそうになったことを。


俺の幼なじみの存在を。


俺が写真を撮るきっかけとなり、また人を撮れなくなった理由でもある、そんな幼なじみの存在を。



「そっか。凛斗もすごいよ。すごい」


どうしようもなく泣きたくなって、思わず上をみた。

綺麗な空が、雲が、穏やかに流れている。


俺はどうしたらよかったんだろうな。

咲良、俺はどうして今だに写真を撮り続けるんだろうな。

咲良がいないこの世界で、どうして俺は。

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