笑顔のキミを
「わあ、綺麗」
ナナの言葉に、目にたまった涙を指でこすった。
夕日。
昨日もみた、夕日がそこにはある。
燃えるような赤が、町全体に広がる。
もうそんな時間か。
「撮ってみたら?」
「え?」
「夕日。ナナなら、いい写真が撮れると思う」
「うーん、そうかな?」
「うん。きっと撮れる」
咲良とナナが、重なってみえる。
ただ俺のそばに寄り添ってくれた咲良。
俺のことを応援してくれた咲良。
味方でいてくれた咲良。
いま隣にいてくれるナナは、まるでそこに咲良がいるような、そんな錯覚をしてしまうくらい似ている気がした。