笑顔のキミを
パシャ。
シャッターを切る音がした。
「うまく撮れたかも」
「みせて」
俺の思った通りだ。
さっきのぶれてピントもあっていない写真を撮った人とは思えない。
「綺麗だ」
写真には魂が宿る。
その人の気持ちが宿る。
上手に撮りたいと思って撮るんじゃない。
誰かを想って、その人のために撮りたいとかその人にみせてあげたいとか、そんな気持ち。
その強い思いが、こうして写真となって現れる。
俺は咲良にみせたくて、今までたくさんの写真を撮ってきたんだと思う。
そしていま上手に撮れてうれしそうに笑っているナナの存在が、これからの俺の原動力になるような気がしていた。