笑顔のキミを


俺のことをわかってくれる存在だと思っていたのに。

無性にイライラした。

こんな感情は久しぶり。

ナナに当たることが正解だとは思っていない。

でも、他に何に当たっていいのかわからない。


声を荒げることしかできない俺は、最低なやつだ。



「ごめん、・・・っ、凛斗、ごめんね」


どうして泣いているんだろう。

俺のせいか。


静かに涙を流すナナは、やっぱり綺麗だと少し思った。


でもいまの俺は、その涙を拭いてあげることも、優しい言葉をかけてあげることもできない。


幸せだと思っていた時間が、たったの2日で崩れ落ちた瞬間でもあった。


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