笑顔のキミを


「先輩!聞いてます?」

「あ、ごめん」

そんな幽霊部員が多い中、ひとり。


今年の春入学してきた子。

佐々木千夏ちゃん。


この子だけはやけに俺につっかかってくるんだ。

でもこの子も所詮は幽霊部員と同じ。

写真を撮ってるところなんてみたことがないし、部活の始まりのときは必ず顔をみせるけど、少し話したらそのまま帰る。

いままででも最多で10分くらいだろう。



「今日は残ってたんだな」


それなのに、今日はいる。

もう18時半。

いつもならとっくにいない。

というか、さっき俺が屋上に行くまではいなかったはずなのに。
< 5 / 390 >

この作品をシェア

pagetop