笑顔のキミを


そんなことはない。

はじめは思っていた。

千夏ちゃんも所詮は幽霊部員と一緒だと。


でも千夏ちゃんがくることで、たったの10分でも気持ちが救われていたのはきっと事実。

顔も知らない、ただ部員として名前が書かれている人たちとは、幽霊部員たちとは全然違う。



「なんでこの部活に?」

「わたし、先輩が撮った写真をみて衝撃を受けたんです。わたしとひとつしか変わらないのにって。この人が撮る写真は、すごいって思いました」

「みにいったの?」

「はい。表彰されたときの写真みました。わたし中学生のときちょっとしたいじめにあってたんです」

「え?」


想像つかない。

いや、でも俺は千夏ちゃんのことも結局何も知らないまま。

こんなに明るい彼女しか知らないけれど、誰にだって抱えているものはある。

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