笑顔のキミを
「彼女は、死んだんだ」
「・・・え?」
「千夏ちゃんがみたあの写真の人。表彰されたときの写真。あんなに笑っていた彼女は、俺の幼なじみは、もうこの世にいない」
あの写真は俺にとって特別なものだった。
別に表彰されたいとか、いい写真を撮りたいとか、本当にそんなこと全く思っていなくて。
ただ目の前で笑った彼女を撮っただけだった。
思い出として。
その証拠に、俺がシャッターを切ると彼女は怒った。
いきなり撮らないでよ。そういって。
俺はごめんごめん、そう謝りながら撮った写真をみた。
この写真なら、もしかしたら、そう思えた。
そのくらい彼女の笑顔はなにかをひきつけるような、なにかがあった。
そのあとしばらくしてあったコンクールに俺は咲良には内緒で応募した。