笑顔のキミを
もし表彰されたら、咲良にはそのときに謝ればいいやと思った。
というより、咲良はきっと怒らないと思った。
俺が表彰されたら誰よりも喜ぶ。
それがたとえ自分の写真だろうが。
でも俺が表彰されるとき、咲良はもうこの世にはいなかった。
「先輩が人を撮れないっていったとき、驚きました。あんなに素敵な写真を撮った人がって・・・あのときは無神経なこといって、本当にすいませんでした」
そういって深々と頭を下げた千夏ちゃん。
あのときの意味、どうして写真を撮ってくれませんかなんていったのかやっとわかった。
「いや、俺のほうこそ。幻滅したでしょ」
「そんなことありません!人を撮れなくても風景を撮る先輩の姿は、写真はやっぱりすごいですから」
「ありがとな」
「先輩はわたしの憧れであり、恩人です」