笑顔のキミを


「先輩のようにうまくは撮れないけど、でも自分なりに研究はしてたんです」

「研究?」

「はい。どうやったらその人のいい表情を写せるかなとか。あ、すいません」

「謝らなくて大丈夫だよ」


千夏ちゃんはあの日からやけに俺に謝る。


でも全然気にしてない。


むしろ千夏ちゃんが撮る写真は、そこに写っている人は、いい表情をしてる。

その一瞬一瞬を逃さまいと、千夏ちゃんは必死になってシャッターを切っている。


その姿はとてもまぶしく、俺にとったらうらやましいものでもあった。


俺も昔はあんなだったのかな。


< 58 / 390 >

この作品をシェア

pagetop