笑顔のキミを
写真を見返せば、咲良ばっかり。
笑っている顔も、泣いている顔も、怒っている顔も、照れている顔も、真顔も。
目をつぶってしまっている顔も、変な顔をしている顔も、全部全部、咲良が生きていた証。
その写真をみるたびに俺はつらくなった。
そして思った。
こうして思い出として残ってしまうほど、いなくなったときがつらいということを。
もしかしたらその日撮った人が、明日には死んでしまうかもしれない。
その日は笑っていた人が、明日には泣いているかもしれない。
無理して笑っている人もいるかもしれない。
そんなことを考えているうちに、俺は人を撮れなくなっていた。