笑顔のキミを
でも、彼の才能はたしかだった。
その写真をみたときの衝撃は、いまでも忘れられない。
全身からなにか熱いものがこみあげてきて泣きそうになった。
そこに写っている彼女は、わたしのいとこ。
そのはずなのに小さいときからずっと知っている咲良のはずなのに、別人にみえた。
咲良は、彼の前だとこんな風に笑うんだ。
こんなに綺麗で、美しくて、まわりの目を一瞬で奪ってしまうような。
咲良は彼と同い年だから、わたしの一個下。
でも、みえない。
屈託のない笑顔は、子供のような無邪気さがあるのに、その中に大人びた様子がある。
たった一枚の写真なのに、それがにじみ出ている。