笑顔のキミを
咲良のお父さんはカメラマン。
もちろんそういう芸能に関わる仕事もしているし、それ以外にも世界中を飛び回って各地の写真を撮っては、展示会を開いたりしていた。
その娘である咲良は、昔から写真を撮られることに慣れていた。
別にそれがうらやましいと思っていたわけじゃない。
うらやましいと思ってたのは幼なじみの存在のほうだ。
「凛斗ったらね、また写真勝手にとって先生に怒られててさ。笑っちゃうよね」
「そうなんだね」
咲良と会えば、彼の話。
わたしには友達と呼べる存在も、幼なじみという存在もいなかったから。
いいなって。勝手に嫉妬したりしてた。
なぜか敵対視して、咲良を超えたいと思うようになって。