笑顔のキミを


咲良のお父さんはカメラマン。

もちろんそういう芸能に関わる仕事もしているし、それ以外にも世界中を飛び回って各地の写真を撮っては、展示会を開いたりしていた。


その娘である咲良は、昔から写真を撮られることに慣れていた。

別にそれがうらやましいと思っていたわけじゃない。

うらやましいと思ってたのは幼なじみの存在のほうだ。




「凛斗ったらね、また写真勝手にとって先生に怒られててさ。笑っちゃうよね」

「そうなんだね」

咲良と会えば、彼の話。

わたしには友達と呼べる存在も、幼なじみという存在もいなかったから。

いいなって。勝手に嫉妬したりしてた。

なぜか敵対視して、咲良を超えたいと思うようになって。
< 91 / 390 >

この作品をシェア

pagetop