笑顔のキミを


それでわたしはモデルの仕事をした。

いろんなことを、忘れたかったのかもしれない。

ちやほやされたかっただけなのかもしれない。



ただ現実はそんな甘くなかった。

「ナナちゃん、こういうポーズしてみて」

「もうちょっと笑ってみよっか?」

「んー、なんかかたいんだよなあ」


カメラマンから、たくさん指摘された。

でも、笑えないよ。

だって楽しくないもん。

やりたかったわけじゃないもん。

そんな言い訳を並べて、ただ適当に。


それでもなぜか外されることも見放されることもなかった。

それどころかどんどんファンは増え、声をかけられるようになり、雑誌にも載るようになってきた。
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