笑顔のキミを


嘘だよ。

だってこのときの撮影、覚えてる。

わたし全然笑えなかった。

これは、偽の笑顔。

ねえ、わたしたちいとこだよ?

小さいころから、よく遊んだりしてたじゃん。

それなのに、この笑顔は本当に綺麗だと思うの?

馬鹿にしないでよ。

心の中でそう叫んでた。



それから、3年の月日はあっという間にすぎた。

今思えば、咲良は嫌味でいってたわけじゃないんだと思う。

別に本物だとか偽物だとかそういうの抜きで、単純にわたしの笑顔がいいといってくれてたんだ。

それはずっと一緒にいたからこそ。

それなのにひねくれてたのはわたしのほうだったね。

< 94 / 390 >

この作品をシェア

pagetop