君がいなくてもnatuはもう一度
最終章 そして、君を照らす夕日が昇る。
「おーい。海斗ー早く早くー」
「雪乃、早すぎ。今日学校だったの忘れたの?」
僕は、雪乃と二人で佐倉のお墓参りに来ていた。春の割には今日はとても暑くて、少し汗ばんでいた。
「今日の今日で来なくてもいいんじゃない?それに暑い。」
「今日だからでしょ。佐倉さんも卒業したいと思ってるよ。」
今日は卒業式で、親には卒業式なのに出かけることに不思議がっていたが、お墓参りだとは伝えずに、雪乃と出かけてくると言った。
「さーてと。じゃ成瀬は水。これに。私は線香の準備しおくからさ。」
雪乃とはまあ関係が変わったといえば変わったが、表面上はなんにも変わらなかった。
「はい。組んできたよ。」
僕はめんどくさそうに佐倉のお墓に水をかけてやった。
「なんか雑だね。もっとちゃんとやろうとは思わないわけ?」
「きっと優花なら許してくれるよ。きっとね。」
「あれ?海斗って佐倉さんのこと優花って呼んでたっけ?」
僕はさあね、と誤魔化して線香あげよう、と話をはぐらかした。線香の匂いが立ちこむ中、僕は手を仕方なく合わせて、佐倉に言いかけるように心の中で言った。
佐倉。君が死んでからもう一年たったよ。意外と佐倉がいなくてもつまらなくはなかった。最初は人とかかわることはとても難しく、困難だったよ。仕方ないとは思うけどね。僕はそれを避けてたんだから。あとはね、あのノート。言い逃げなんてずるすぎ。まあ佐倉らしいけど。今も持ってるよ。思い出を断ち切るために捨てるのもいいと思ったけど、なんか捨てなくても前に進めると思ったから捨てなかった。それだけ僕が成長したのかな。わからないけど。今日は卒業式だったよ。僕はちなみに大学へ行く。あれだけ嫌いな勉強がなんだか真剣にやったら普通に思えてきたからね。これも全部佐倉と出会ったから変わったのかな。じゃ、そうゆうことで。また来年も来るわ。佐倉優花さん。卒業おめでとう。
「よしっ。行こっか。あれ?海斗?泣いてるよ?」
「えっ?嘘。」
と僕は自分の頬を触って確かめた。涙は出てなかった。
「うっそー。海斗って自分が泣いてるの気が付かないことあるから。一回騙してみたかったんだー。あはは。」
屈託のない笑顔を僕に見せて雪乃は笑った。僕は言い返そうとしたが、それを佐倉のお墓の前で言うと佐倉が聞いてそうな感じがしたので聞き流した。僕は速足で来た道を戻っていった。
後ろからちょっと待って~という声が聞こえたが、さっきの仕返しで無視した。もう僕は日常がつまらないとは思ってもいなかった。そして、君のいない夏を迎える。
「おーい。海斗ー早く早くー」
「雪乃、早すぎ。今日学校だったの忘れたの?」
僕は、雪乃と二人で佐倉のお墓参りに来ていた。春の割には今日はとても暑くて、少し汗ばんでいた。
「今日の今日で来なくてもいいんじゃない?それに暑い。」
「今日だからでしょ。佐倉さんも卒業したいと思ってるよ。」
今日は卒業式で、親には卒業式なのに出かけることに不思議がっていたが、お墓参りだとは伝えずに、雪乃と出かけてくると言った。
「さーてと。じゃ成瀬は水。これに。私は線香の準備しおくからさ。」
雪乃とはまあ関係が変わったといえば変わったが、表面上はなんにも変わらなかった。
「はい。組んできたよ。」
僕はめんどくさそうに佐倉のお墓に水をかけてやった。
「なんか雑だね。もっとちゃんとやろうとは思わないわけ?」
「きっと優花なら許してくれるよ。きっとね。」
「あれ?海斗って佐倉さんのこと優花って呼んでたっけ?」
僕はさあね、と誤魔化して線香あげよう、と話をはぐらかした。線香の匂いが立ちこむ中、僕は手を仕方なく合わせて、佐倉に言いかけるように心の中で言った。
佐倉。君が死んでからもう一年たったよ。意外と佐倉がいなくてもつまらなくはなかった。最初は人とかかわることはとても難しく、困難だったよ。仕方ないとは思うけどね。僕はそれを避けてたんだから。あとはね、あのノート。言い逃げなんてずるすぎ。まあ佐倉らしいけど。今も持ってるよ。思い出を断ち切るために捨てるのもいいと思ったけど、なんか捨てなくても前に進めると思ったから捨てなかった。それだけ僕が成長したのかな。わからないけど。今日は卒業式だったよ。僕はちなみに大学へ行く。あれだけ嫌いな勉強がなんだか真剣にやったら普通に思えてきたからね。これも全部佐倉と出会ったから変わったのかな。じゃ、そうゆうことで。また来年も来るわ。佐倉優花さん。卒業おめでとう。
「よしっ。行こっか。あれ?海斗?泣いてるよ?」
「えっ?嘘。」
と僕は自分の頬を触って確かめた。涙は出てなかった。
「うっそー。海斗って自分が泣いてるの気が付かないことあるから。一回騙してみたかったんだー。あはは。」
屈託のない笑顔を僕に見せて雪乃は笑った。僕は言い返そうとしたが、それを佐倉のお墓の前で言うと佐倉が聞いてそうな感じがしたので聞き流した。僕は速足で来た道を戻っていった。
後ろからちょっと待って~という声が聞こえたが、さっきの仕返しで無視した。もう僕は日常がつまらないとは思ってもいなかった。そして、君のいない夏を迎える。