東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
ああもう残念、この男さえいなければもっとジュンくんと話ができたのに。
沸々と込み上げる怒りのまま、叶星は一気にワインを飲み干した。


「失礼します」

――徹底的に感じ悪い、執念深い、嫌味、あとなんだ? 鬼っ!

プイッと大げさに踵を返すと、
「待てよ」
ガシッと腕を掴まれた。

「な、なんですか?」

パッと腕を離した東堂副社長は、「提案なんだが……」と叶星をジッと見た。

「俺と付き合わないか?」

――は?

「なんだったら結婚してもいい」

耳を疑った。

体は固まって、思考は停止した。

キーンと耳鳴りがして、ふと人々の喝采が聞こえ
ステージを振り返ると手品師が両手を掲げ、ゆっくりと頭を下げた。


「っていうのは冗談だ」

東堂副社長は上を向き、それはそれは楽し気に白い歯を見せてアハハと笑う。


我に返った叶星は、唇を噛んで東堂副社長をキッと睨んだ。

――く、悔しい!

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