東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18
『俺と付き合わないか?』

――全く、人を馬鹿にして。
ふん。私は怒っているんですからね。

あの後氷室専務が来て、『西ノ宮さん、LaLaが来たよ。紹介してあげる』と言ってくれたお蔭で、うやむやになってしまったが、あの時の悔しさを忘れたわけじゃない。

キッと眉を潜めて上を向き、副社長の代わりに階層ランプを睨んだ叶星は、早く昇れーと念を送った。

無視無視、反応しちゃだめ。と心に言い聞かせる。

なのに。

「ふぅん。それはよかった。脳も天気でなによりだ」

――は?
決意虚しくプチッとこめかみの血管が切れた気がして、考える前に振り返っていた。

「朝から、私を、怒らせたいわけですか?」
一歩踏み出し、キリキリと見上げる。

「べ・つ・に」
東堂副社長は、薄笑いを浮かべながら、ゆっくりと一言ずつ言った。

くぅぅぅぅ。

「副社長、実は、モテないでしょ。パーティに男性秘書と来るなんて、クックック。カ・ワ・イ・ソ・ウ」

へっ、言ってやった。
スッキリしたところで、チンとエレベーターが音を立てた。

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