保野田、意味わかんない
意 味 不 明
「あー、笠原さんだ」
道の端のほう、敷地内。そこから聞こえた無気力な、猫のような、声。
低い塀の上に、格子みたいな黒くて高い柵が。
柵の隙間から見えたのは、
「……保野田くん」
よくわからないクラスメイトの保野田。
「あはは、おはよう」
なにがあはは、だ。わたしは朝っぱらからなんてもんを見たんだって気分。
保野田は、庭にいた。大きくもなく小さくもなくなプールに浸かり、内側に寄りかかって、足は向かいの壁にかけ、のせて。
水着姿、上半身裸。わたしは最悪なことに、上半身裸の姿を見てきゃあきゃあ騒げる人間じゃない。
そりゃあ、引き締まっていて適度に割れているお腹と、血管の浮きでた細い腕に目がいかなかったというわけではないんだけれど、まあそこはおいといて。
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